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同一シャフトでクラブを組みたてた場合、そのカットの方法・チップ側の挿入長により硬さが変わると言われていますが、以前から自分でもその実験をしてみたいと思っていました。そのためには振動数計がいるし、シャフトも1本サラの物を用意しなければならないので、なかなかできるチャンスがありませんでしたが、今回Teeoliveさんにてほぼ自分が思っていた実験をしているのを購読しているメーリングリストにて知り、非常に有用なデータなので掲載のお願いをしたところ、快くOKして頂きました。ありがとうございました。

サンプルとして使った物は下記の物です。
シャフト : TrueTemper EI-70(S)
ヘッド : SMT社製 DEEPBORE455(ヘッド重量199g)
グリップ : スイングライトコード



◆実験1◆ クラブ長の変化に伴う振動数の変化について
クラブ長
振動数
46.50 Inch
255cpm
46.25 Inch
257cpm
46.00 Inch
259cpm
45.75 Inch
260cpm
45.50 Inch(D7くらい)
263cpm
45.25 Inch
265cpm
45.00 Inch
267cpm
44.75 Inch
269cpm
44.50 Inch
271cpm
44.25 Inch
273cpm
44.00 Inch
274cpm
先端はノーカットで、バット側のみでの長さ調整

考察 : 一般に同じシャフトでも長さが長いほどやわらかく感じ、短くなるほど硬くなると思われていますが、今回の結果はその通りの結果が出ています。ただこの実験では、バランスは統一にしていませんので、ここにバランスという要素が加わると、さらに複雑な内容になると思います。
例えば、46.5 InchでD2、44.0 InchでD2バランスがでていた場合今回とは若干違う結果になっていたかもしれませんね。今回の結果がシャフトのバットをカットし、バランス調整をしていないとのことでしたので、1/4 Inchカットでの振動数は約2cpmずつ変わると言うことになるようです。
バランスが軽くなっていると言うこと、シャフトが短くなっているという両方の要素が合わさってのこの数字と言うことになります。


◆実験2 ◆ バランスが振動数に与える影響について
Balance
振動数
D4.5
276cpm
D5.5
276cpm
D6.5
274cpm
D7.5
273cpm
同一クラブにてバランスのみ調整し、振動数を測定(バランスの調整はソール中央に鉛を貼ることにより調整)

考察 : これは同一の長さで実験が行われていますので、非常にわかりやすいですね。普通ヘッドを重く(バランスを重く)するとやわらかく感じるようになりますので、当然振動数も柔らかめにでると思われますが、この実験結果を見ると3 Pointかわっても3cpmしか変わっていません。数値的にはこんなもんなんですね。
実際にバランスが変わっても振ったときに感じるシャフトのしなりほど振動数には影響がないと言うことになりそうですね。


◆実験3◆ 挿しこみの長さが振動数に与える影響について
さしこみ長
振動数
ホーゼル先端まで挿入
271cpm
半インチ浅く
269cpm
1インチ浅く
268cpm
同一ヘッド、同一シャフトで全て長さは44.5 Inchにて測定(オリジナル状態でのホーゼルの深さは55mm)

考察 : これも非常に興味がある内容でした。Titleist 983などのスルーボアのヘッドに対してスルーボアにした場合と、ブラインドボアにした場合のデータの参考として利用できるのではないかと考えたからなのですが、今回の結果を見ると、多分TeeOliveさんのヘッドはブラインドボアになっていると思われるので、それほど大きな差としては出てこなかったようです。
クラブを組みたてる場合、あまりホーゼルの奥行きが長くシャフトが硬くなってしまう場合は少し浮かせてと言うこともやってみたことがありますが、やはりあまり大幅に浮かせることで接着面積の問題もありますので、あまりやらない方が良いようですね。


◆実験4◆ チップカットが振動数に与える影響について
チップカット長
振動数
0.00 Inch
271cpm
0.25 Inch
275cpm
0.50 Inch
276cpm
0.75 Inch
277cpm
1.00 Inch
277cpm

考察 : これも興味ある内容ですね。一般にはチップカットすることでシャフトは硬くなると言いますが、それが実際にどのくらい硬くなるのかというのは非常に興味深い内容です。
このデータはチップカットした分バット側が長くなっているとのことでしたので、すべて44.5 Inchで統一されているとのことでした。またその際のバランス調整はされていないとのことでしたが、さほどの差は無いと思われます。基準となる44.5 Inchの状態で271cpm、そして半インチチップカットで276cpm、そして1インチチップカットで277cpmとなっています。
意外と半インチカットと、1インチカットでは差が出ていませんね。5cpmくらい変わるとなんとなく振っていてわかるくらいの数字ですので、ここでいう2cpmくらいの数字は体感できる数字ではないかもしれませんね。

最後に
TeeOliveの方もおっしゃっているように、今回は中元調子のEI-70をサンプルシャフトとして使っており、これが中調子や先調子では変わってくるでしょうね。振動数という指標は色々難しい部分があって、280っていうと硬いってかんじがしたり、265っていうと柔らかめに感じたりしますが、実際に振ってみると同じ280でも手元調子の280はやわらかく感じたり、先調子の280が柔らかく感じたりと人それぞれのスイングテンポによって違ってくると思います。

今回Teeoliveさんが行ってくれた実験は非常に有意義な物でしたが、振動数に影響を与える要素はシャフトの長さや、バランス以外にもグリップによっても振動数のデータは変わります。あとはセルの長さでも変わるなんて言う人もいますね。調べだしたらきりがないという感じです。

Teeoliveさんでは今後もこういった実験をやってくれるとのことですので、是非期待したいところです。
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